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子どものメンタルヘルス不調に気づき、
子どもの強みを発見するアンケート

エスイーエイチエス SEHS

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メッセージ

現代の子どもの
メンタルヘルスの問題

“Mental Health Matters”

2015年にアメリカの学校心理学会に参加したときに出会った言葉です。
日本語で言うと、「メンタルヘルスは多くのことに関係している(つまり、重要である)」という感じでしょうか。

学校では子どもの学力向上や社会性の育成が重視されますが、その課題に取り組むうえで、子どものメンタルヘルス(心身の健康)の状態に目を向けることが欠かせません。メンタルヘルスの不調を抱えている状態では、勉強や部活に専念することや、友人や教師と良好な人間関係を築くことが難しくなります。メンタルヘルスの不調から、学校生活の活動に専念できず、さらに状況が悪化していくという悪循環が生じていることも少なくありません。メンタルヘルスの問題は、子どもや青年の25%に影響を及ぼしているというデータもあり(Singletary et al., 2015)、各国で様々な政策がとられています(Salinger, 2019)。

子どものメンタルヘルスの状況を把握し、子ども一人ひとりへの働きかけを増やすことや、学級・学校風土の改善に活かすことなど、学校でできることもあります。また、心理的支援や家族支援が必要な場合には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、外部の専門機関(教育相談センター、医療機関、児童相談所など)につなぐことで、専門的な支援を早期にスタートさせることもできます。問題が固定化する前に早期に子どもの支援を始めることは、子どものその後の経過を良くすることが知られています。

メンタルヘルスを把握する
アセスメントツールの必要性

子どものメンタルヘルスに対応する場合、子どもが目に見えるわかりやすいサインを出してくれるとは限らず、内面で起きていることを把握することが難しいことがあります。また、心身の不調を感じていても、自主的に子どもが相談に来てくれるとは限りません。そのため、周囲の大人が子どものメンタルヘルスの状態を客観的に把握し、学校で行うことのできる支援に適切に結びつける必要があります。
つまり、メンタルヘルスのスクリーニング(援助を必要としている子どもを見つける手立て)が必要です。

欧米諸国では、メンタルヘルスのスクリーニングのため、Strength and Difficulties Questionnaire( SDQ:子どもの強みと困難さアンケート)やBehavioral and Emotional Rating Scale (BERS: 子どもの行動と感情の評価尺度)などの標準化されたアンケートが行われている学校が増えています。

現在、文部科学省の科研費で調査を行っていますので、無料でアンケートの実施・学校全体の結果のフィードバックが可能です。
子どものメンタルヘルススクリーニングの内容や実施にご関心のある方は、以下の問い合わせからご連絡ください。

SEHSとは

私たちが開発しているSEHS(社会面・感情面の健康調査)の特徴は、メンタルヘルスの二次元モデル(Greenspoon and Saklofske, 2001; Suldo and Shaffer, 2008.)に沿って子どものメンタルヘルスをとらえる点にあります。メンタルヘルスの二次元モデルとは、子どものメンタルヘルスの不調(ディストレス)のレベルと、子どもの強みの認識のレベルを掛け合わせて、子どものメンタルヘルスをとらえる枠組みです。

メンタルヘルスの二次元モデル
心理的ディストレス
健常 要フォローアップ

強みの認識

とても
低い
脆弱 要フォローアップ
(優先度高)
低い なんとか
やりくりしている
要フォローアップ
(優先度中)
平均 やや活発 要観察+要フォロー
高い 活発 要観察
(一貫性なし)
とても
高い
非常に
活発
要観察
(一貫性なし)

ショックなことを経験するとだれでも一時的にひどく落ち込むことがあります。それは子どもも同様です。その際に、自分の強みを高く認識している子どもは、“自分にはたくさんの良いところがある” “自分は多くの人に支えられている” “自分で気持ちを調整することができる” “嫌なこともあるけど楽しいこともある”といった自己イメージや考え方をもっているため、その状況をもちこたえる力やその状況から回復する力が高いことが想定されます。

メンタルヘルスの状態が最も心配される子どもは、現在高いストレスを感じていて、自己の強みの認識が低い子どもになります。こうした子どもを学校の先生が把握し、子どもに対するサポートを増やしたり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの援助の専門家が早期に関わることができれば、子どものメンタルヘルスの改善につなげることができると考えます。
この2次元を簡便に測定できるアンケートが、SEHSです。

SEHSには小学生版と中学生・高校生版があります。詳しい調査内容については「SEHSとは」をご参照ください。

研究チーム

私たちの研究チームでは、学校全体のメンタルヘルススクリーニングを行うため、米国で開発されたSocial Emotional Health Survey(SEHS:社会面・感情面の健康調査)アンケートの日本語版の開発を進めてきました。現在、このアンケートを使用して、援助を必要としている子どもの早期発見のためのシステムの開発や、
その後のフォローアップ方法の検討を進めています。

  • 代表 飯田順子

    代表 飯田順子

    筑波大学

    メンタルヘルス
    スクリーニング

  • 杉本希映

    杉本希映

    目白大学

    保護者支援

  • 青山郁子

    青山郁子

    都留文科大学

    ネットいじめ

  • 遠藤寛子

    遠藤寛子

    埼玉学園大学

    怒りの制御

  • 川崎知巳

    川崎知巳

    千葉商科大学

    教師・管理職のサポート

  • 茅野理恵

    茅野理恵

    信州大学

    子どものサイン

  • 岐部智恵子

    岐部智恵子

    お茶の水女子大学

    ポジティブ
    心理学介入

  • 杉崎雅子

    杉崎雅子

    小田原短期大学

    SCによる移行期支援

  • 伊藤亜矢子

    伊藤亜矢子

    名古屋市立大学

    学級風土
    コンサルテーション

連携研究者

  • 山崎沙織

    SCの活用、高校調査研究協力

  • 松山康成

    小学校調査研究協力

  • 横張亜希子

    高校調査研究協力

  • 岡安朋子

    SSWの活用、小中学校調査研究協力

  • 山田賢治

    中学校調査研究協力

  • 桑原千恵子

    小学校調査研究協力

書籍紹介

いじめ予防スキルアップガイド:エビデンスに基づく安心・安全な学校づくりの実践

いじめ予防スキルアップガイド:
エビデンスに基づく安心・安全な
学校づくりの実践

学校におけるいじめ防止の取り組みのなかで、「予防」に重点を置いて有効なアプローチを紹介する。国内外の理論や実証研究に裏付けられた知識・行動を具体的に解説し、いじめ予防のスキルアップを目指す。現場ですぐに使える、教職員研修用・授業用のダウンロード教材つき。

小学生のためのソーシャルスキル・トレーニング スマホ時代に必要な人間関係の技術

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スマホ時代の子どもたちは、現実生活でもスマホ上でも、人間関係を築く力が求められているため、実はこれまで以上にソーシャルスキルが求められているといえます。この本では、子どもたちが必要とする基本的なソーシャルスキルを、早い段階から継続的に学級で教えていけるよう、各スキルの指導案・ワークシート・教える際のポイントが示されています。